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465話、単行本47巻。
この巻で、自分の「犬夜叉」という物語は一旦終了しました。区切りがついた、ともいいます。

桔梗を完全に抹殺するために、桔梗の心と体を汚す負の心---鬼蜘蛛の心を取り戻した奈落。
瘴気に侵された壊れかけの身体で賢明に耐える桔梗。桔梗を守るために闘う犬夜叉。桔梗を救いたいと願いながら、桔梗の言動に惑い葛藤するかごめ。
この奇妙な四角関係の決着は、桔梗の二度目の死によってもたらされました。


以下、妄想過多な文章が続きます。



あぁ、「犬夜叉」を好きになってよかった。
桔梗というキャラクターを好きでよかった。


大好きなキャラクターが物語から退場するのに、心からそう思えた回でした。

正直に言うとひとつ前の「落日」を読んだ時は、この時点での桔梗の退場に少なからず不満もありました。
自分なりにあれやこれや妄想していた桔梗の最期とはあまりにも展開もタイミングも違うし(当たり前)、せめて奈落の消滅を見届けてから・・・とか複雑な気持ちの方が強かったんです。

でも本誌で「光」を読んだとき。
桔梗の最期のエピソードとして、これ以上のものは有り得ないと思いました。
一読者の頭の中では描けない桔梗というキャラクターを生んだ高橋先生にしか描けない会心の回なんだと。



自分がすんなり「光」を受け入れられた理由。
それは桔梗の心からの涙と笑顔を見ることが出来た。これにつきます。




生前にしろ復活後にしろ、桔梗は喜怒哀楽のうち「喜」と「楽」が抜け落ちたキャラクターでした。

「迷わぬよう、間違わぬよう生きよう」とした生前。
「人であって人であってはならない」桔梗は、私を殺して公に尽くし続けます。
四魂の玉の守護者になってからはそれに拍車がかかり、妖怪につけこまれないため、弱みの一つも見せられなくなりました。しかし犬夜叉に出会い、「ただの女」になるという望みを抑えられずに四魂の玉を使おうと決意・・・その結果、彼女は最愛の少年の胸を矢で射ぬくことになり、自らも命を落とします。

そして復活後。
生前に比べ「愛することも憎むことも自由」といいながら、犬夜叉への未練は絶てず、奈落を滅ぼすために彷徨い続けます。桔梗の魂は復活後すら自由ではなく、結局は愛憎に縛られているんです。
死魂がなければ動くことすらままならず、たった一人で孤独に闘うその姿は、生前の彼女が望んだ「ただの女」には程遠いものでした。

だからいずれやってくるであろう最期の場面で、全ての柵から解放された桔梗の姿を見たかったんです。
心から笑ったり、安らいで涙を流したりする、四魂の玉を守る巫女・死人である以上は見られない表情を見たいと思いつづけました。





とはいえ、桔梗が本編で全く笑顔も涙も見せなかったわけではありません。


まず笑顔です。

5-2.png 高橋留美子「犬夜叉」/小学館 5巻 p.163  

生前、犬夜叉と初めて近くで話した時に見せたこの笑顔は、どこか寂しそうなものでした。
「人間であって人間であってはならない」苦しみを初めて犬夜叉に吐露した時、犬夜叉のぶっきらぼうな返答に、困ったように浮かべた微笑み。
桔梗の素の笑顔ではありますが、喜びとは程遠いものです。

また復活後も何度か笑顔を見せてはいますが・・・

img158.jpg  高橋留美子「犬夜叉」/小学館 8巻 p.84

img157.jpg  高橋留美子「犬夜叉」/小学館 12巻 p.135

そのほとんどは、子どもや兵士・村人といった弱者に寄り添う慈愛の微笑みでした。
この微笑みが本心からのものではないとは言わないけれど、やっぱり「巫女」の立場だからこそのものではないかと思います。だからわざわざニコ・・・なんて擬音付きで表現されているんじゃないかと。

あとは、仇である奈落に向ける不敵な笑みです。

img160.jpg  高橋留美子「犬夜叉」/小学館 18巻 p.94

鬼蜘蛛の心を残す奈落に自分は殺せない、と挑発的な笑みを見せます。
でもこれも、喜びとは程遠いものなんですよね。相手より優位に立っているという自信の表れであると同時に、命が惜しければ手を出すな、という自己防衛のためのものです。


次にです。

img161.jpg 高橋留美子「犬夜叉」/小学館 6巻 p.16


復活直後、憎しみを爆発させる桔梗を犬夜叉が抱きしめた時、桔梗は初めて涙を見せました。

「おまえも辛いめにあってたんだな。おまえは人間で女だから、おれなんかよりずっと・・・」
「ずっと、辛かったんだな・・・」


桔梗の苦しみを察して包み込んだ犬夜叉に一度は涙を流しますが、憎しみは消えず、再び犬夜叉の命を狙います。この時点では50年前の真実を知らないので、当然と言えば当然のことかもしれません。


img154.jpg             img155.jpg
高橋留美子「犬夜叉」/小学館 13巻 p.62        高橋留美子「犬夜叉」/小学館 46巻 p.107


その他は桔梗本人が流したものではなく、犬夜叉やかごめが見た幻覚の中でのものです。
裏切られた悲しみ、愛する少年を封印せざるを得なかった悲しみによる涙でした。

どれもやり場のない怒りや悲しみによって流されたものでした。







話は「光」に戻ります。

前話の「落日」で、桔梗の霊力は奈落の邪気に敗れます。
瘴気に侵されていた身体は奈落によって傷つけられ、動くことすらできなくなりました。梓山の弓と最後に琥珀のことをかごめに託し、犬夜叉の腕に抱かれた時、


img162.jpg   高橋留美子「犬夜叉」/小学館 47巻 p.122

「やっと・・・ただの女になれた」

彼女はそう呟きます。
弓をなくし、紛い物の身体はぼろぼろになって身動きすら取れず、闘うことが出来なくなって・・・そうまでならないと、桔梗は「ただの女」にはなれなかったんでしょう。
とても残酷に思えますが、その表情はどこか満たされていました。


桔梗が望んだ「ただの女」というのはただ「巫女ではない女」というだけでなく、何の柵もなく、ただ想うままに愛する人と抱き合えるような存在だったのかもしれません。

「桔梗・・・おまえはおれが生まれて初めて好きになった大切な女だ」

犬夜叉から告げられた愛の言葉。
それなのに「救えなかった」と涙を流して嘆く犬夜叉に桔梗が見せたのは---


img148.jpg  高橋留美子「犬夜叉」/小学館 47巻 p.125


今まで見せたことがなかった、心からの微笑みでした。

愛する少年が自分の窮地に駆けつけてくれた。
憎い仇ではなく、愛する少年の腕に抱かれて「ただの女」になることができた。それで十分だ、と。

この時の桔梗には復活直後に見せたような憎しみも、生への執着もありません。恋敵であるかごめへの嫉妬は信頼に代わり、奈落への軽蔑や憎しみも、愛する犬夜叉の腕の中ではもう必要ありませんでした。あったのは、ただ犬夜叉への愛のみでした。


img150.jpg 高橋留美子「犬夜叉」/小学館 47巻 p.126


そして、心からの惜別と愛情のこもった口づけが星空の下で交わされます。


不器用でぶっきらぼうで、自分の気持ちを出すのが苦手な犬夜叉が、想い溢れて自ら口付けたんです。


img170.jpg   高橋留美子「犬夜叉」/小学館 47巻 p.127


桔梗はようやく喜びと安堵の涙を流します。
最期の最期の時になってやっと、です。

闘いつづけた人生の最期、犬夜叉の腕の中で心からの笑顔と涙を流して、桔梗の魂は「光」となって天へと還っていきました。

愛する犬夜叉の腕に抱かれ、愛の言葉を受け取り、「ただの女」になって、自分の全てを託せる存在---かごめやその仲間たちに感謝して「光」になる。

幸薄かった十八年の生涯、その何倍もの時間を悩み苦しんで彷徨い続けた少女の魂がようやく安らぎ、報われた瞬間でした。






桔梗が物語から退場することは必然でした。
高橋先生も「桔梗のキャラって言うのはいずれどうしても死ななきゃならない(*1)と語っていたように、死者である以上はこの世に留まり続けてはいけません。
(同じ死者であっても琥珀やりんとはまた事情が違う気がするので、それはまた次の機会に・・・)

だからこそ、その最期くらいは報われて欲しい。


高橋先生は、そんな希望を渾身の作画で表現してくれた。
桔梗の心からの笑顔と涙をようやく見ることが出来た。



だから「犬夜叉」と桔梗を好きになってよかったと思えたんです。自分も報われたような気持ちでした。


よかったね、もう闘わなくていいんだよ。お疲れ様。


そう桔梗を見送ってあげられました。




後の展開を考えると、桔梗の最期はこのタイミング以外有り得なかったんですよね。
・・・・・・・・まぁ正直、退場後もあそこまで存在を前面に出されるとは思いませんでしたが。


この「光」があったからこそ、連載終了から五年経った今でも桔梗への愛が失せることがないんだと思います。


ずっと追い続け、こんなにも心に残る最期を迎えたキャラクターはいません。
これからも自分にとって桔梗は生涯最愛のキャラです。




(*1)「高橋留美子先生×東村アキコ先生 超BIG2スペシャル対談」番外編其の二 より http://petitcomic.com/brunch/theme101008.html



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Thoughts on スポンサーサイト465話「光」 ~さまよい続けた少女の笑顔と涙

says... ありがとうございます泣

Date:2013/12/14 04:46

本当にタイトル通りの感想です、ありがとうございます‼︎
こんなに共感するブログに初めて出会いました。
私も桔梗というキャラにハマりまくってました!
ブログにコメントつける事が、初めてでよく分からないんですけど、嬉しくて、感動で、してしまいました☻
ありがとうございます‼︎

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