全てはここから始まりました。
記念すべき桔梗復活回にして、序盤の最大の見せ場です。


当然ですがネタバレありです。




~前回までのあらすじ~

鬼女・裏陶が楓の村を襲撃し、桔梗の墓を暴いて霊骨を奪っていった。裏陶は生前四魂の玉を浄めていた桔梗を術で蘇らせ、意のままに操り四魂の欠片を集めさせようと目論んでいた。
霊骨を取り返すため裏陶を追う犬夜叉たち。かごめは道中で、犬夜叉が桔梗を慕っていたことを感じ取る。
一方、裏陶は骨と墓土で桔梗の身体を焼きあげるが、完成したのは魂のないただの抜け殻だった。桔梗の魂が既に転生していること、そして桔梗に瓜二つのかごめこそがその転生者であることを突き止めた裏陶は、魂を奪うためかごめを攫って行く。





裏陶を追う途中、土人形に襲撃された犬夜叉たち。
楓は人形に人間の魂と骨が使われていたことから、裏陶の目的を突き止め「我らは桔梗お姉さまに会うやもしれぬ」と告げました。そして、もしも桔梗が裏陶の術で操られたならば手強い敵になる、と。

一方捕えられたかごめは、魂を離脱させるための薬草に漬けられていました。
そこに巫女装束を纏った桔梗が現れますが、魂が入っていないために瞳はうつろなまま。
かごめが四魂の欠片を持っていることに気が付いた裏陶ですが、奪おうとした瞬間、離脱しかけた桔梗の魂によって阻まれます。

「生前の桔梗の魂が怒りくるっておるのだ!」
「凄まじき怨念だ!よほど前の世に忌まわしきことがあったに違いない!」


そこに駆けつけた犬夜叉たち。
桔梗の姿を見た犬夜叉が思わずその名前を呟いた瞬間、心乱れた魂がかごめの身体から完全に離脱し、凄まじい勢いで桔梗のまがい物の体へと還っていきました。

狂喜して桔梗を犬夜叉たちにけしかけようとする裏陶ですが、逆に桔梗によって倒されてしまいます。

「犬夜叉・・・なぜ生きている・・・?おまえは私が封印したはずだ・・・」
「へっ、あいにくだったな!50年ほどかかっちまったが、おれはこの通りぴんぴんしてるぜ!」
「憎い・・・私はお前が憎い!」


歩み寄る桔梗の肩口が光りだし、次の瞬間、鮮血に染まります。

15-13.png  (c)高橋留美子/小学館・読売テレビ・サンライズ

「なぜ裏切った!?犬夜叉----!!」 

「裏切り」の言葉と見覚えのない桔梗の血に動揺する犬夜叉。
しかし楓はその傷は犬夜叉が負わせたもので、桔梗はそれが原因で命を落としたのだと言います。

「知らねえぜ楓ばばあ!おれ、そんなことした覚えがねえ!!」
「まさかな・・・こんな言い逃れを聞くとは。やめろ犬夜叉、見苦しい、やめてくれ・・・」
「犬夜叉・・・お前は申したではないか。人間になると・・・」



桔梗の口から語られる50年前の真相。
犬夜叉は人間になると誓い、自分はそれを信じて四魂の玉を持って犬夜叉のもとへ向かった。
しかし背後から何者かに襲われて倒れてしまう・・・襲撃者は犬夜叉であり、四魂の玉に伸ばした自分の手を踏み躙り、「人間になる気なんざさらさらねえよ!」と嘲った。

15-5.png (c)高橋留美子/小学館・読売テレビ・サンライズ

誓いは真っ赤な嘘で、玉を汚すためにもっと恨みの血を吸わせるために村人を皆殺しにする―――そう言って去って行った犬夜叉。だから自分は末期の力を振り絞って犬夜叉を封印したのだ、と。



桔梗の話を聞き、犬夜叉にそんなことが出来たのか・・・と疑問を抱く楓。
犬夜叉も否定しますが、桔梗は当然のように聞く耳を持ちません。

霊力を込めた手で犬夜叉に襲い掛かり、矢を放つ桔梗。追いすがる楓も強引に押しどけて弓矢を奪います。

「いけませんお姉さま!犬夜叉は敵ではありません!」
「何を言う楓!きさまもこの半妖にたぶらかされたのか!?」
「楓、お前は私のなんだ!血を分けた実の妹ではないのか!?その妹が姉の命令を聞けぬというのか!どけ!!」


犬夜叉への憎しみを爆発させる桔梗。桔梗の憎しみを断ち切り魂を鎮めなければ、かごめは永遠に目覚めることはない・・・楓は桔梗の身体を壊すという苦渋の決断を下しました。

「私はお前を憎みながら死んだ・・・魂がそこから動けない。お前が生きている限り救われない!」

再び放たれる破魔の矢。犬夜叉は鉄砕牙でなんとか受け止めますが、矢は刀の変化を解き、犬夜叉の左胸へと迫ります。

15-6.png (c)高橋留美子/小学館・読売テレビ・サンライズ

犬夜叉の絶叫が響いたその時、かごめが目を覚ましました。
それに呼応するように、桔梗の体から魂が次々に抜けていきます。

「いやだ・・・!私には、私には、まだ・・・!!」

魂を取り戻したかごめと間一髪で救われた犬夜叉。
しかし魂を抜かれた筈の桔梗は、ふらふらと逃げるように去っていきます。

「あの身体を動かすのは桔梗の怨念よ!あらかたの魂は元の体に戻ったらしいが・・・陰の気の怨念だけは、骨と墓土で作った体によくなじんだと見える」
「清らかな巫女だった女がもはや怨念の化け物。ざまあないのう」


崖へと逃れた桔梗。落ちかけた時、その手を掴んだのは犬夜叉でした。
このままではいけない、かごめの中に戻れという犬夜叉ですが、それは桔梗という存在が再び消滅することを意味します。

「私が死ぬときは、お前が死ぬ時だ----!!」

15-7.png (c)高橋留美子/小学館・読売テレビ・サンライズ

犬夜叉を引きずり込もうとする桔梗。犬夜叉は耐えきれず手を離してしまい、桔梗は崖下へと落ちていきました。

(どうして、どうしてこんなことになったんだ・・・!)


犬夜叉の回想が始まります。
50年前、犬夜叉は本物の妖怪になるために四魂の玉を欲していた。霊力を使って四魂の玉を守っていた桔梗に何度も挑むがいつも敵わず、きまって木にはりつけにされていた。

ある日、初めて近くで話す機会が訪れる。
そこで桔梗は、自身が誰にも弱みを見せられない、迷ってはいけない・・・人間であって人間ではない存在であると言った。半妖の犬夜叉と似ている、だから殺せなかった、と。そして桔梗のさみしそうな笑顔を見て、初めて悪いことをしたような気分になった。
それからというものの気付けば桔梗を考えるようになり、いつもそばにいるようになった
そんな時、桔梗から「人間にならないか」と持ちかけられる。自分を人間にするために使えば四魂の玉は浄化されて消滅し、玉を守る者である桔梗は「ただの女」になる---。

夕暮れの桟橋で桔梗を抱きしめ、人間になりって共に生きていくことを誓った犬夜叉。
しかし約束の日、桔梗は矢を放って襲い掛かってきた。

15-11.png  (c)高橋留美子/小学館・読売テレビ・サンライズ

裏切られたのは自分---桔梗は自分を油断させて殺す気だった。なんとか矢を交わして村を襲って四魂の玉を奪ったが、最期は桔梗に封印された。



なにもかもが食い違う二人の記憶。
やり場のない怒りに呻く犬夜叉は、その場に倒れこみます。





【感想】


≪良かったところ≫

①50年前のオリジナルシーン

アニメ化でもっとも嬉しかったのが、この追加シーンです。
原作では数ページ程度でしか描かれていなかった50年前の犬桔のふれあいが、犬夜叉の視点でオリジナルエピソードを加えて展開していきます。この犬夜叉の独白がまた切なくて良いんですよね。

「おれは玉さえ手に入れば桔梗を殺す気なんてなかった。桔梗もおれを殺さねえ」

桔梗の弱音を聞いてから、いつも桔梗のことを考えるようになったという犬夜叉。

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15-10.png  (c)高橋留美子/小学館・読売テレビ・サンライズ

子ども達と遊ぶ桔梗を見つめたり、雪の中出かける桔梗の後をついて行ったり、桔梗の禊を覗いたり・・・

「桔梗はいつもおれのそばに・・・おれもいつも桔梗と一緒に・・・」

あれ、ストーカー?
敵同士な筈なのに、いつも付かず離れずそばにいた二人。寄り添うわけではないけれど、相手がそこにいると感じ取れる心地よい距離だったんでしょうね。

そして夕暮れの桟橋での一幕。

15-3.png (c)高橋留美子/小学館・読売テレビ・サンライズ

船から降りた時につまづいた桔梗が犬夜叉の胸に寄りかかります。桔梗の潤んだ瞳を見て思わず抱きしめてしまう犬夜叉とか・・・もう!もう!!なんなんですこの少女漫画?

「気の迷いでもなんでもねえ・・・!おれは桔梗となら人間になって生きていけると思った!生きたいと思った!!」

こんな風に二人だけで過ごした思い出があったから、少しずつ育んできた想いがあったからこそ、裏切られた時の絶望が深まるんですよね。
思いが強ければ強いほど憎しみは強まる---奈落が言っていた通りだと思います。

桔梗が裏切りにあうシーンも、正直原作よりも胸に迫るものがありました。


②日高のり子さんの熱演

「らんま1/2」は漫画でしか読んだことがなかったので、アニメを見るまで日高のり子さんのことをほとんど知りませんでした。「タッチ」の南ちゃんをやってたことくらいかな?(バラエティのアニメ特集でよく出ていたので)

「なぜ裏切った!犬夜叉!」の絶叫ですが、鮮血も相まって凄まじい気迫です。
ただ喚き散らすんじゃなくて、感情を押し殺そうとしながらも抑えられずに怒りが滲み出てるような・・・そんな日高さんの演技が抜群に合っていました。桔梗の一言一言が突き刺さるような激しさを持ってました。

「私は、もうみんなをおびやかしまくるのが目標です!(*1)」と日高さんが言っていたように、桔梗が喋るだけで場が緊張するような・・・。

日高さんは「となりのトトロ」のサツキも演じられてたんですね。プロって凄い・・・。


③蘇った傷

15-2.png (c)高橋留美子/小学館・読売テレビ・サンライズ

50年前に負った傷も蘇り、桔梗の肩口が鮮血に染まります。
「骨と墓土でできた体から血が出るの?」という疑問もちょっとはありましたが、直後の叫びといい、桔梗の怒りや悲しみが際立っていて良かったです。
血だまりに映る犬夜叉たちの姿とか、アニメならではの演出です。復活直後の悲愴さを増すためにこの時だけ出血させたんでしょうか・・・個人的にはアリでした。



≪気になったところ≫

①原作シーンのカット

かごめが目覚めるまでの過程が、原作とは少し異なっています。

原作では、
桔梗が矢を放つ⇒犬夜叉が鉄砕牙で応戦・矢を破壊⇒怯んだ桔梗を犬夜叉が押さえて抱きしめる
という流れがありました。

img166.jpg  高橋留美子「犬夜叉」/小学館 6巻 p.14

「黙れ!!」
「わかった桔梗・・・お前も辛い目にあってたんだな」
「おまえは人間で、女だから・・・おれよりずっと・・・」


img166-2.jpg 高橋留美子「犬夜叉」/小学館 6巻 p.15

「ずっと辛かったんだな・・・」

img161.jpg  高橋留美子「犬夜叉」/小学館 6巻 p.16

憎しみを爆発させていた桔梗が、一瞬だけ鎮まります。
そして憎いはずの犬夜叉に抱かれて、ずっと抱いてきた孤独を指摘され、初めて涙を流します。
それでも魂が完全に鎮まることはなかったんですが、犬夜叉の思わぬ優しさに、一瞬だけでも桔梗が安らぐことが出来た---ここがアニメでは丸々カットされています。

他人の痛みを受け入れるなんてこと、50年前の犬夜叉には出来なかったことです。
それを出来るようになったのは、いうまでもなくかごめに出会ったからです。

初めて誰かを守るために戦って、初めて自分の弱さ(朔の日に人間になる)を曝け出すことが出来たから・・・痛みを受け入れてくれる存在に出会えたからだと思うんです。だから、他人の痛みも理解できるようになった。
8巻で桔梗が言った「すねた目」をしなくなったのも、誰も信用できなかった犬夜叉がようやく居場所を見つけたから---そんな犬夜叉の心の成長を示す重要な場面だと勝手に思っていたんですが。

しかしアニメでは、あくまで桔梗が優勢のまま、犬夜叉から行動を起こすことはありませんでした。

破魔の矢で心臓を射抜かれそうになり、今度こそ封印ではなく殺される、という時になってかごめが目覚め、間一髪で救われるんです。犬夜叉もっと頑張れよ・・・と言いたくなりました。
オリジナルシーンを入れたから尺が足りなかったのか、それともこの時点でもう原作とは異なった展開にすることが決定していたのか。


②桔梗の憎悪

裏切られたと思っている以上は当然なんですが、桔梗の怨念ってここまで凄かったっけ・・・とつい思っちゃいました。

「きさまもこの半妖にたぶらかされたのか!?」
「その妹が姉の命令を聞けぬというのか!どけ!!」


と楓を突き飛ばしてまで弓矢を奪ってます。
桔梗って「妹は姉の命令を聞け」なんて言う性格だったかなぁと思ったんですが、憎しみが増長されているからで、本心からの言葉ではないんですよね多分。
たった一人の肉親である妹が、自分を裏切り死に追いやった男を庇ったのがショックだったのかもしれません。


【まとめ】


四魂の欠片集めが主だったストーリーが大きく動き出す序盤の山場のひとつだけあり、作画・演出共にすばらしかったです。30分があっという間でした。

最後、桔梗が崖下へ転落していくときに流れるBGM「霊力」

犬夜叉 音楽篇犬夜叉 音楽篇
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サントラにも収録されているんですが、犬夜叉と桔梗の悲劇をこれほど表現したBGMもないと思います。

ファンとしてはもっとも重要な桔梗復活回。
原作で描かれなかった部分を補完するという意味では期待以上でした。
でも、

こんなふうに冷静に感想が書けるのは多分これが最後だと思います。
理由はもうあえて言いませんが。



(*1)「高橋留美子原画全集 アニメ犬夜叉の世界」/小学館 p135



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